志望動機や自己アピールにはオリジナリティが求められますが、いくら自分自身の言葉であっても、会社側が求めている資質や経験から大きく外れて、的外れになることも少なくないようです。今回は、そんな事例を紹介します。
首都圏を中心に小中学生対象の進学塾を経営するA社では、平均して1年間に10人ほどの教務スタッフを募集しますが、応募者の半数近くは、塾教師という仕事をはき違えた志望動機を挙げるのだそうです。
たとえば、「あなたは、当社に入社したらどんな視点をもって仕事したいとお考えですか」と質問すると、「勉強することの面白さを教え、自ら学習する姿勢を植え付けたい。自分から進んで実践する姿勢を持てば、自ずと成績もアップしていくことになると思う」とか、「大学では必要な単位を履修して教職を目指したが、事情があってかなわなかった。教育原理、児童心理などの基本的知識を生かして、真正面から先生という仕事にぶつかっていきたい」といった答えが返ってくる。それぞれ動機としては立派なのですが、A社の人事担当者は、目を向ける方向が最初から間違っているといいます。
「当社は、あくまでも教育サービスを行う私企業。教務スタッフは先生であると同時に会社員だから、教育のことだけでなく企業としての進学塾のあり方、将来を展望した視点での回答を期待している。何らかの形で教育に接点を持っていることは歓迎するが、それよりも、ビジネス社会で培った知識・経験を生かして、少子化の時代にどう対処していくかといった視点でのアピールが欲しい」
コンビニエンスストアは、一部の直営店を除き、経営に当たるのは各店舗のオーナーです。そのオーナーに対して、複数の店舗を巡回しながら経営面の指導を行うスーパーバイザー(名称は各社により異なる)という仕事があります。B社でも、このスーパーバイザーを定期的に採用していますが、流通業、小売業としてのとらえ方から抜け切れていない人が多いとのことです。
具体的には、「小売店や飲食店で接客の経験があり、自分に向いていると思う」という動機ですが、コンビニエンスストアでは、接客にあたるのはオーナーとそこの従業員であって、スーパーバイザーは接客は行いません。店舗の立地によって顧客層には違いがあり、また、季節や天候次第で商品の売れ行きが異なったりします。そこで、売上げの推移を分析して、それぞれの店舗に最適な品揃え、販売方法、仕入個数の判断のポイントなどを指導するのが仕事です。したがって、計数能力や分析力、オーナーに対する説得力といった能力をこそ示すべきでしょう。
この2社のケースに共通していえるのは、応募先の会社の事業内容や仕事内容をイメージでとらえ、実際どうなのかといった部分にまで踏み込んだ研究がなされていないことです。的を外れた回答では、いくら熱心に語っても、人事のハートには響きません。
次回は「売り込みのポイントが違うのでは」です。
お楽しみに・・・
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